こんにちは。桂颯です。
さて、皆さんは、
顔彩と水彩絵の具の違いについて、
ご存知でしょうか?
両者は同じように使える一方で、
それぞれの特徴や用途に違いがあります。
今回は、
顔彩と水彩絵の具の基本的な特徴、
使い方、表現の違い、
そして選び方について詳しく解説します。
あなたに合った画材を見つける
お手伝いになれば幸いです。
第1章:顔彩とは?

顔彩は、
日本画で使われる
伝統的な顔料を元に作られた画材で、
絵手紙や墨彩画に多く使われています。
色名も、紅梅(こうばい)」「黄土(おうど)」
「鶯茶録(うぐいすちゃろく)など、
日本人に馴染みやすい名前で
表記されているため、
感覚的に使いやすいのが魅力です。
顔彩の特徴
1、不透明な発色
(色を塗り重ねた時、下地を覆い隠すということ)
しっかりとした色が楽しめるため、
作品に深みを与えることができます。
2、顔料にアラビアゴムや膠(にかわ)、
砂糖、水あめなどを
練り合わせて固形化している
3、手軽さ
水を含ませた筆でなぞるだけで
色が溶けだします。
また顔彩チューブ絵具もあり、
こちらは顔彩と同じ顔料を
チューブ状にしたもので
使いやすさが向上しています。

日本画の伝統的な方法では、
岩絵具や水干絵具を
膠液で練る工程が必要ですが
顔彩は水を含ませた筆で
表面を軽くなぞるだけで、
鮮やかな色が溶け出します。
つまり、
顔彩や顔彩チューブ絵具は、
伝統的な日本画を簡単に
楽しめるよう工夫された画材なのです。
初めての方でも扱いやすいので、
初心者からプロの作家まで
幅広く愛用されています。
第2章:水彩絵具とは?

水彩絵の具は、
西洋の絵画技法を基盤とした画材です。
色の名前も、
バーミリオンヒュー、サップグリーン、
バチターブルーなど、カタカナで表記されていて、
顔彩に比べて、鮮やかな発色です。
水彩絵具には、
透明水彩と**不透明水彩(ガッシュ)**の
2種類があり、その違いは、
顔料とアラビアゴムの配合比によって決まります。
*アラビアゴムとは、
水によく溶ける、紙への接着性が良いという
特異な性質があることから、
顔彩や水彩絵具の糊(展色材)として
用いられています。
透明水彩の特徴
✔ 顔料が少なく、アラビアゴムが多め
✔ 水で溶かすと顔料がまばらに広がり、下地が透ける
✔ 重ね塗りや混色による美しいグラデーションが可能
✔ 白の表現は、白い絵具を使わず紙の白を活かす
透明感のある繊細な表現ができるため、
一般的に「水彩画」と言えば
透明水彩のことを指すことが多いです。
不透明水彩(ガッシュ)の特徴
✔ 顔料が多く、アラビアゴムの量が少ない
✔ 塗ると下地を覆い隠し、はっきりと発色する
✔ 重ね塗りしやすく、白の絵具でハイライトを加えられる
✔ ポスターやイラストなど、しっかりとした色を出したいときに適している
顔彩と水彩絵具の違いまとめ
顔彩 | 透明水彩 | 不透明水彩(ガッシュ) | |
---|---|---|---|
発色 | 不透明で鮮やか | 透明感があり下地が透ける | 不透明でしっかり発色 |
重ね塗り | 下の色を活かし、混色により、美しく発色できる | 混色やグラデーションが美しい | 下の色を隠せるので重ね塗りしやすい |
白の表現 | 白の絵具を使う | 紙の白を活かす | 白の絵具を使う |
使いやすさ | すぐに使えて、筆の勢いを表現することもできる | なめらかに塗れる | 顔彩と同様にしっかりとした発色 |
第3章:顔彩と水彩絵具の使用方法の違い
顔彩は、
筆に水を含ませて絵の具を溶かし、
絵皿の中で濃淡を調整したり、
混色したりして塗ります。
水彩絵具(透明水彩)は、
チューブから出して、
パレットの中で水で薄めたり、
混色したりして、色を調整して使います。
しかし、最近では、
水彩絵具も、固形タイプが
販売されているようですし、
顔彩にも、
顔彩チューブがあるので、
使用方法は、
ほとんど変わらなくなってきましたね。
一番の大きな違いは、
使う紙の種類です。
水彩絵具の場合は
専用の水彩紙が用いられます。
水彩紙には、
紙肌、厚さ、素材、綴じ方などにより、
さまざまな種類があるので
描きたい技法に合わせて選びます。
有名な製品としては、
アルシュ、ラングトン、ワットマン、
ウォーターフォード、ワトソンなどがあります。

顔彩を塗るための紙には、
画仙紙、楮紙、麻紙、鳥の子紙などがあります。
墨彩画で言えば、
水墨を主にした没骨法で描く場合は、
画仙紙や楮紙を使うと、
墨色をデリケートに出すことができます。
また鉤勒法で描く場合は、
麻紙、白麻紙、鳥の子紙、雲肌麻紙などの
和紙が適しています。

没骨法と鉤勒法については、
また次の機会に、解説しますね。
第4章:表現の違いとそれぞれの魅力
顔彩の魅力は、
落ち着いた色合いです。
和の雰囲気を引き立て、
伝統的な日本画や絵手紙にぴったりです。
一筆で力強く描くこともできるため、
筆使いの技術が引き立ちます。

水彩絵具(透明水彩)は、
ウエット・オン・ウエットや
ぼかしといった水を使った技法で
透明感のある柔らかい表現が可能です。

第5章:顔彩と水彩絵具の選び方
どちらを選ぶべきかは、
描きたい作品や目的によります、
例えば、
日本らしい伝統的な雰囲気を
大切にしたい場合や、
絵手紙のようなシンプルな作品には
顔彩がおすすめです。

一方、柔らかく繊細な表現や、
風景画など、
広い面を塗る必要がある場合は
水彩絵具が適しています、

それぞれの特性を理解し、
自分に合った画材を選ぶことで
絵を描く楽しさが増すことでしょう。
まとめ
顔彩と水彩絵具は、
それぞれ異なる特徴と魅力を持った画材です。
どちらの画材も試しながら、
自分に合った使い方を
見つける過程もまた、
創作の楽しみの一つです。
実は私も、
普段は顔彩を使って
墨彩画を描いていますが
以前、
足を骨折をして入院したときには、
水彩絵具を使って水彩画に
挑戦していました。
退院後は、
その時に学んだ
水彩画のさまざまな技法を
墨彩画に取り入れるなど、
新しい表現方法を試す楽しさを
味わうことができました。
あなたもぜひ、
創作活動に顔彩と水彩絵具を
活かしてみてください。