こんにちは。
さわやか顔彩アート教室の桂颯です。
春から初夏へと季節が移る頃、
さまざまな花たちが、
次々に咲き始め、
自然の中に命の躍動を感じます。
描きたい花があれもこれもと
目に入り、
心はわくわくと弾むのに、
筆がなかなか追いつかないー
そんな嬉しい焦りに似た季節が、
また今年もやってきました。
さて、今回の記事では、
これまで私が描いてきた
13種類の初夏の花の絵手紙を
ご紹介します。
それぞれの作品には、
描き方動画も
ご用意していますので
気になったお花があれば、
ぜひご自分でも
描いてみてください。
また、
同じお花でも、
鉤勒法(こうろくほう)と
没骨法(もっこつほう)という
技法の違いによって、
まったく異なる印象の絵手紙に
仕上がるという楽しさも、
ぜひ感じてみてください。
第1章:初夏の花を描く

初夏に咲く花々には、
思わず筆を取りたくなるような、
描きがいのある魅力があります。
芍薬や牡丹は、
幾重にも重なる
華やかな花びらが圧倒的で、
ひと目で心をつかまれます。
花菖蒲やあやめは、
その凛とした立ち姿と
涼やかな色合いに、
つい見とれてしまいます。
そして、
花ごとに色が変化していく
紫陽花は、
何度描いても
飽きることがありません。
若葉が芽吹き、
やがて青々とした葉へと
移ろうこの時期──
初夏は、
自然の持つ美しさが
最も際立つ季節ではないかとすら
私は、感じています。
顔彩アートの魅力は
誰でも気軽に始められることです。
絵の上手下手は関係なく、
「いいな」と感じた気持ちを
筆にのせることで、
見る人の心にも
届く絵になるはずです。
初夏の光の中で、
花と向き合い、
自分自身の時間を楽しむ──
そんなひとときを
ぜひ、
過ごしてみてください。
第2章:技法で味わう花の魅力 | 鉤勒法と没骨法


日本画や絵手紙で使われる代表的な技法に「
鉤勒法(こうろくほう)」と
「没骨法(もっこつほう)」
があります。
どちらも
花の美しさを引き出すために
使われる表現方法ですが、
その仕上がりには
大きな違いがあります。
鉤勒法は、
まず墨や顔彩で線を描き、
そこに色を重ねていく方法です。
輪郭がくっきりと出るため
花のかたちが
はっきりとわかりやすく、
端正で凛とした印象に
仕上がります。
たとえば、
花菖蒲や額紫陽花など、
構造が特徴的な花には
鉤勒法がとてもよく合います。
一方の没骨法は
輪郭を描かずに
いきなり色で形を表現する
技法です。
色のにじみや
グラデーションを活かして、
ふんわりとした優しい雰囲気を
出すことができます。
花菖蒲や紫陽花など、
柔らかな印象の花に使うと、
自然でやさしい作品になります。
今回ご紹介する絵手紙の中にも、
鉤勒法と没骨法で
描き分けた花があります。
同じモチーフでも
技法を変えることで、
まったく違う表情になるというのも、
顔彩アートの魅力のひとつです。
鉤勒法と没骨法の違いについては、
次の記事の中でも詳しく解説していますので、
こちらもご覧ください。
第3章:13の花をめぐる|
絵手紙の描き方動画リンクのご案内
ここからは、
今回ご紹介する
13種類の初夏の花たちを、
ご紹介していきます。
画像は、Youtubeで配信している
描き方動画のサムネイルです。
「この花、私も描いてみたいな」と
思った方は、
ぜひ、まんなかのボタンを
クリックしてください。
それぞれの絵が
どのように描かれていくのか、
筆使いや色の重ね方などを、
わかりやすく解説しています。
初心者の方でも
気軽に取り組める内容と
なっています。
あやめ
あやめの特徴は、
花びらにある網目模様です。
この模様をしっかり描くことで、
花菖蒲や杜若と
区別することができます。
花菖蒲(鉤勒法)
花菖蒲の特徴は、
花びらにある黄色い模様です。
花菖蒲(没骨法)
ふんわりとしたやさしさを色で表現。
鉄砲百合
白の清楚さと奥行きにこだわった1枚。
クレマチス
鉤勒法で描いています。
葉っぱの色作りや
お花の描き方に工夫をこらしました。
桔梗1
鉤勒法で描いています。
落ち着いた紫が印象的な、
端正な仕上がり。
桔梗2
明るい色と柔らかい背景で
やさしい雰囲気に。
ナデシコ
花びらの繊細な描き方を
お楽しみください。
芍薬
花びらの重なりと
華やかさをグラデーションで。
紫陽花(鉤勒法)1
複雑に見えるお花も、パターン化すれば
楽に描けます。
紫陽花(鉤勒法)2
ふんわりと優しい表現に。
額紫陽花(鉤勒法)
面白い描法です。
雨の降らせ方を楽しんでください。
額紫陽花(没骨法)
筆の技で、柔らかい表現に!
まとめ

初夏の花をテーマにした絵手紙は、
いかがだったでしょうか?
今回は、
技法の違いや
花の個性に注目しながら、
13種類の作品を
ご紹介しました。
同じ花でも
描き方や色合いによって、
まったく異なる印象になることを
感じていただけたのでは
ないでしょうか。
絵手紙を描く一番の醍醐味は、
花と向き合いながら、
自分の心と静かに向き合うことです。
そんな時間のなかで
生まれた一枚が、
誰かの心にも
優しく届くことを
願っています。
どうかあなたも、
お気に入りの花を見つけて、
自分だけの絵手紙を
描いてみてください。
なお、初夏の花の絵手紙特集は、
以下のYoutube動画でも
ご覧いただくことができます。